市川人事労務コンサルタント事務所

よもやま話

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地井武男

先日亡くなった地井武男が出演していた「ちい散歩」という番組が終了したが、このところまた違った形で注目されている。

本が売れたりDVDが売れたり、また都内のデパートで関連イベントが開かれたりしている。

決してドラマでも大作でもない単なる一番組としてはとても珍しいことだ。

この番組は、地井武男が下町などを散歩して、そこに住んでいる人達と軽口を叩きながらその町を紹介して歩く、というものだった。

最初は「とりあえず始めてみました」というような番組だったが、これが意外と人気が出て何と6年間にわたり1500回以上も続いたそうだ。

役者だった地井武男には失礼だが、この「ちい散歩」は彼の代表作と言ってもいいように思う。

シナリオも決められたセリフも何も無い、全編アドリブという役者にとっては普通苦手とされるものだったように思うのだが、これを彼独特の大いなる自然体でやり切っていた。

こういうことができる能力というのは、元々持っていたものかも知れないが、それまでの役者という仕事を通して少しずつ身につけたものでもあるのだろう。

この番組を企画したプロデューサーは、なかなか人事のセンスがあったように思う。きっと、番組の内容より配役が先にあったのだ。

無理矢理人事的にいえば、これはまさに日本的な「職能給」の発想だ。欧米の職務給の発想だと、こうはならない。

「これができる人を探してこよう」ではなく、「この人に何をやらせようか」なのだ。

この発想がピッタリはまった。

最近の馬鹿騒ぎするばかりのテレビ番組の中で、昭和の香りのする独特な味のある番組だっただけに少々残念に思う。