よもやま話
変化を生む危機意識
いささか古い話になるが、以前オリンピックで優勝した荒川静香さんは、アマ競技を引退してプロになるとき「これからは高さやスピードでびっくりさせるのではなく、美しさでうっとりさせることを目標にしたい。」と語っていた。
オリンピックではジャンプの高さや回転、またステップの難易度などを主に採点するらしい(私は素人なので詳しいことは分からないが)が、プロとして米国でツアーに行くと、観客はそういうことより華麗で美しいパフォーマンスを求めているそうだ。
そして、人気のあるスケートのプロは年間何億も稼ぐという。
この転身は、「技術力の評価」から「観客の感動」へと目標が変わったことを意味する。
プロは結果(観客の感動→チケットが売れる→興行の収益増大)が大事だということなのだろう。ここでのアマとプロの評価の違いは、新入社員とベテラン社員の評価項目の違いに似ている。
目標が変われば要求されるものが変わる。そして要求されるものが変われば自ずと動きが変わる。目標がはっきりしなければ動きはあいまいになる。
会社の経営も同じ。
経営目標(どういう考えで何を目指すか)が明確でなければ戦略(戦い方、考え方、行動の仕方、そのために何が必要か)が立たず、それが決まらなければ社員の評価(正しく行動できたか、目標達成に貢献したか)もままならない。
「何のためにやっているか」によって全く違う目標を立てることになり、それにより全く違う動きが要求されることになる。
会社の目標は日々変化する。極端にいえば毎日変化するものだ。
そして忘れてはならないのは、この変化の根底にあるものは経営トップの「現状に対する危機意識」にほかならないということだ。
経営トップの危機意識(このままではいけない、何とかしなければ)が改革を断行する唯一の原動力となる。(それ以外の理由で改革が行われ成功した例を私は見たことがない)
去年ヤフーの経営者が交代したが、それなどは象徴的な出来事だと言える。
思った時が行動する時だ。
経営者の決断が全てを決する。