よもやま話
弁護士 高井伸夫
私の知り合いに高井伸夫さんという弁護士がいる。大変著名な方で、人事をやっていてこの人を知らなければ、もぐりだと言って良い。日経ビジネスの弁護士ランキングでは、何年も続けて人事労務部門でトップランクに入っている。
私は知り合ってかれこれ20年ほど経つが、いまだに刺激を受ける稀有な存在だ。今でも、仕事を手伝ったり手伝ってもらったり、また食事をしたり酒を飲んだりの関係を続けている。
何人もの秘書をつかい、1年365日、毎日朝6時から深夜まで猛烈に仕事をしている。この方は昔から仕事のスピードや超人的なハードワークで有名な方なのだが、本当の凄味はもっと別のところにあると私は見ている。それは、情報収集力と緻密な分析力に裏打ちされた類まれな先見性だ。私はこの人の言ったことが、半年、1年たって現実のものとなるのを何度も見ている。
話をしていて何かヒントを得ると、すぐにその辺の紙の切れ端にササッとメモ書きし、ポケットにしまいこむ。また、1日の仕事を整理して、テープレコーダーに翌日の指示を入れ、次の日の朝には全メンバーにきちんと伝わるようなシステムを確立している。この情報に対する感度には舌を巻く。
もしこの方と仕事で一緒になる機会があれば、そのあたりを充分に味わって欲しい。弁護士としても勿論だが、ビジネスマンとしても滅多にいないスーパーマンだと私は思っている。
先ごろ出た雑誌で「日本の弁護士納税額TOP10」に入っていたそうだ。もういい歳なのだから、あまり頑張って稼がずに、そろそろゆっくりしたら良いのにと思う。