市川人事労務コンサルタント事務所

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弁護士 高井伸夫 2

2008年7月15日に弁護士高井伸夫さんについて書いたが、あれからそろそろ4年が経とうとしている。高井先生も70歳を超え、高井伸夫法律事務所から高井・岡芹法律事務所と名前を変え、後進に道を譲りつつある。

高井弁護士は言うまでもなく日本の法曹界における労働法分野の第一人者であり、私は以前企業にいた時代に出会ってかれこれ25年以上が経つ。

この人の凄さは何と言っても好奇心旺盛で行動力とスピードがあるところだが、それ以上に凄いのが(これは深く付き合わないとなかなか分からないが)、森羅万象の理を分かっていることだ。ものの道理が分かっていると言っても良いだろう。

分かりやすく言うと、何か問題が生じた時に「どこをどう押せば、どこがどう出る」というようなことが分かっているということだ。そして複雑な問題をいたってシンプルにしてしまう。

一見何も関心が無いような素振りを見せ、知らん顔をしてあらぬ方向を向いていながら、実は凄いスピードで考え緻密に分析していることが多い。

私が随分前に何かの会に出た時、たまたま隣に座っていた弁護士に高井氏の話をしたら、その人も名前を知っていて「高井先生の魅力は”論旨明快”の一言に尽きます」と言っていたのを思い出す。

本質を見抜く力とでもいうのだろうか、そういうセンスを持っている。私もその頃、近くで随分勉強したような気がする。私はたまに「市川マジック」と言われることがあるが、その大元は「高井マジック」なのだと思う。

今から10年以上も昔の話だが、日曜日の朝6時頃に電話があり、”何かあったのか”と慌てて出るとのんびりした声で「何してた?(寝てたに決まってる!)ちょっと事務所に来ない?」などと言う。誘われるままに朝早くタクシーで高井事務所まで行き、誰も居ない事務所で二人でサンドイッチを食べながら取り留めの無い話をして時間を過ごしていたことを思い出す。

そして、何の目的も無いようなそういう時間が、今となってはいろいろな意味があったように思えるのが不思議だ。

最近は会うことも殆どないが、いつまでも元気でいて欲しいものだ。昨年からfacebookを始めたようで(私も友達になっているが)、相変わらず海外視察にも頻繁に行かれているらしく、まだまだ好奇心と行動力は尽きないようだ。

以前、高井事務所に大塚さんという事務長がいた(大塚さんはもう亡くなってしまったが)ときに、その大塚さんを囲んで有志が集まり酒を飲む「大塚会」という集まりを主催し、私の事務所で月一回酒盛りをしていたことがある。そこには高井事務所関係者だけでなく、私が顧問をしていた会社の社長たちも多く集まり、高井先生の話題で大いに盛り上がったものだ。

さすがに後半は不定期になったが、それでも5年ほどは続いたように思う。毎回高井先生の話題を肴に盛り上がっていたが、5年間も肴にできるほど話題が尽きない高井伸夫という人は、今さらながら凄い人だと思う。

大塚さんが当時良く言っていた「いやあ大変だけどしょうがないよ、惚れた弱みだね」というセリフが今でも忘れられない。

今回は何故だか急に懐かしくなって高井先生のことを書いてしまった。迷惑だったら申し訳ない。

2012年3月14日

交友・人物編, 人事・経営編