市川人事労務コンサルタント事務所

よもやま話

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「責任を取って辞める」のウソ

今日の日経新聞に、東京電力の会長・社長が辞任する意向だとの記事が載っていた。

記事によると「福島第一原発の事故に関する責任を取るために今回の株主総会で退任する」らしい。

昔からあるこの「責任を取って辞める」というのはいったい何だろうか。

東京電力の歴史の中で最も重大で厳しい局面を迎えている今、全てを放り出して辞められればこんな楽なことはない。

これは責任を取って辞めるのではなく「責任を取りたくないから辞める」のだろう。
ようするに「私は逃げます」ということだ。

逃げるなら「この局面を解決できる能力がないので他の人に変わってもらいます。ごめんなさい。」となぜ言わないのだ。
それどころか「責任を取って」などと潔いふりをする。

確かに東京電力の役員などは、エリートコースに乗って何の苦労もなく昇進し、順送りで取締役になってきたのかも知れない。

しかしいったん経営者になったからには(少なくとも現場で命がけで復旧のために頑張っている社員や関連会社の社員以上に)命をかけてやらなければならない。

特に今回などは地球規模の危機を生じさせているのだ。

皆が戦っている時に自分だけ逃げるなどあり得ないことだ。
昔から敵前逃亡は死刑と相場が決まっている。
まして最高司令官が逃げるなんて聞いたことがない。

今の東京電力の会長と社長は、現在自分たちの肩にかかっている責任の重さを全く分かっていない。

苦労をしていない経営者ほどこの傾向が強い。

企業の経営者は自分の都合で逃げてはいけない。
命がけでやるしかないのだ。

2011年4月18日

人事・経営編