よもやま話
どう伝えるか
ずいぶん前の話だが、新聞のコラムにこういうのがあった。
国立統計数理研究所での調査資料の話だそうだ。
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ある会社に「時には規則をまげて無理な仕事をさせることもあるが、仕事以外でも人の面倒をよくみる」という課長がいた、とする。
反対のタイプの課長に比べればこういう課長のほうが良い、と答えた比率は84%に達した。
ところが、この文脈を逆にして「仕事以外でも人の面倒をよくみるが、時には規則をまげて無理な仕事をさせることもある」という文章にしたこの課長を選ぶ人は47%に激減したそうだ。
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同じことを言ってもその言い方で印象が良くなることも悪くなることもある、ということだ。
経営者が社員に対して何かを伝えるとき、「何を伝えるか」が最も大事なのは分かっているが、「どう伝えるか」も同様に大事だということがこれで分かる。
社長から社員を見たときの距離感と社員から社長を見たときの距離感は大きく違う。(社長から社員を見たときの距離感のほうが断然近い、残念ながら社員は社長が思うほど社長を親しい存在とは思ってくれないのだ)
そこで最初の話に戻るのだが、「分かってくれる」と思って話すと誤解される。
最初から「分からないものだ」と思って話すと真意が伝わる。
「顧客に対する営業は天才的だが社員に対してつい手を抜いてしまう」という社長がいるが、それではなかなかうまくいかない。
よく「社長業は孤独だ」というが、本当の理由はこの辺にあるのかも知れない。