よもやま話
デジタルとアナログ
先日、知合いが建てた別荘へ行った。
その人は小さな会社の経営者だが、ジャズが好きで、その別荘にはデジタルの高級オーディオシステムがある。
かなりその道に詳しい人なので、生半可なシステムではない。
CD何千枚分もの曲を入れたシステムをiPadで手早く操作する仕組みも作っており、私も「凄い」と感心したものだ。
しかし後日、試しにそのシステムにアナログプレーヤーを繋ぎジャズヴォーカルのレコードをかけて聴いてみたそうだが、その音がくだんの自慢のデジタルオーディオシステムのそれを遥かに超える素晴らしいものだったらしく、本人はたいそう落ち込んでいた。
話は飛ぶが、明後日に株主総会を行う大手家具メーカーでは、創業者の会長(父)と現社長(娘)が壮絶なプロクシーファイトをやっている。
それぞれの会見を見る限り、会長がアナログで社長がデジタルに見える。
「経験・勘・度胸」(昔で言うところのKKD)の父親と「理論・データ・合理性」の娘の相容れない経営方針の違いによる争いだ。(本当のところは血が繋がっているが故のもっと根深い相克なのかも知れないが)
どちらに軍配が上がるかわからないが、どちらにせよ会社が無傷ですむとは思えない。
今後の経営がうまくいくためには、今回の株主総会でどちらかが一方的に勝つよりも、今後お互いの「良いところ取り」をした協力体制をいかに作るか、が最も緊急かつ重要な課題に思える。
競争相手は外におり、しかもそのたくさんの競争相手はそれぞれが相当強力で、それも命がけで経営をしているのだ。
中で戦っている余裕は無い。
創業者の手法を「時代遅れ」と切り捨てるのではなく、また次世代の経営者を「理屈でメシが食えるか」と馬鹿にするのでもない。
前述のオーディオシステムも「CDにするか、レコードにするか」で悩むのではなく、その都度聴きたい時に聴きたいほうで聴けば良い。
つまり「良いところ取り」をすれば良いのだ。
真理は至ってシンプルなのかも知れない。