よもやま話
社長の強み
人事コンサルタントとして起業して早いもので来年で20年が経つ。
その当時は人事コンサルタントなどというような仕事は世の中にほとんど認知されておらず、自分でも「こんな仕事が世の中に必要なのかなあ」と思いながらも、自分の価値観をたよりに何とかスタートしたような感じだ。
実際始めてみると、多くの企業の多くの経営者が、自分がそのとき感じていたのと同じことを感じているということがわかり、それが自信になり試行錯誤をしながらも少しずつ仕事が増えていったように思う。
その後様々な企業の人事顧問をして来たが、振り返ってみると私の顧問会社の経営者は大変個性的な人が多く、中でも創業オーナーにはとてもユニークな人が多い。
私から見ると大変面白く興味深い人物なのだが、しかし意外と社員からは理解されておらず経営者の魅力や本来の強みが生かされていない。いやほんとにこれが多いのだ。
もちろん創業者だから個性が強く長所も短所も人一倍ある。しかし、社員はつまらぬ短所ばかりに目が行き、本来の素晴らしい強みを理解できない。
「こんなに面白くて味があるのに何故みんなにはそれが分からないのだろう。これがこの会社の最強の武器なのに、ああもったいない。」というのが私の偽らざる感想で、ある意味でそれが私がこの仕事を続けている原動力かも知れない。
私の仕事の一つに「経営者の通訳」がある。
要するに、経営者の持っている能力(価値観や思い、強みや強烈な問題意識など)を整理して社員に分かりやすく伝え、それを経営に無駄無く反映させることだ。
私の顧問会社は業績が良いところが多いように思う。勿論、私の力でそうなったとは言わないが、様々な人事的な手を打ったりする他に、前述したその「経営者の通訳」をしていることが、業績回復に大きな影響があるのではないかと密かに思っている。
もう10年以上顧問を続けている企業が何社もあるが、組織力は格段に強くなっているように感じる。
一つの会社と長く付き合うのも大変面白いが、一方で私はいつも新しい経営者に会いたいと思っている。面白い経営者に会いたいと思うのは私の性格だからこればっかりはしょうがない。
最近また面白そうな経営者に出会う機会があった。聞けば聞くほど人間に味があり、また経営者としての歴史を感じる。
こういう面白い経営者が日本にまだまだいると思うと「日本もまだ捨てたもんじゃないなあ」と思う。