よもやま話
企業文化
元気のよい会社は皆その会社特有の企業文化をもっている。
私が知っている会社で、伸びているところや継続的に高い業績を上げているところは大体において独特の企業文化をもっている。
これは創業経営者の人生観なり哲学、生きるセンスからくるものが多い。
これが社員の共感を呼び会社に浸透していく。
そしてそれがものの考え方の基軸になり行動規範になり、一体感を醸成し強い組織となっていく。
20年前なら話はそこでお終いになったのだが、今ではそうもいかないところがある。
かつて成功へ導いた企業文化が経営の足かせとなっている場合があるのだ。
世の中の価値観が大きく変化し、また以前と比べ物にならないくらいのスピードが要求されるようになって、昔の常識が通用しなくなっていることもある。
また、企業文化が本質から離れてしまって単なる言葉としてお題目のように継承されているようなケースもある。
ダーウィンの有名な言葉に「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」というものがあるが、企業文化も時代やその企業の状況によって変化させていかなければならないのだ。
しかし、それが難しい。
特に、優秀な経営者や魅力的な創業者が創り上げた企業文化ほど変えることが難しい。
成功体験もあるし、その人物への憧憬もある。
今のように目まぐるしい変化が当たり前の世の中では、企業文化も毎年マイナーチェンジするくらいで良いのかも知れない。
企業文化を陰で支える人事制度や採用基準なども毎年微調整する必要があるように思う。
それくらい今の世の中は変化が速い。
先日ある会社の忘年会に出て久しぶりに全社員の顔を見る機会があった。
一人ひとりも随分しっかりして来たように感じたが、何より全体から受ける雰囲気がまったく以前と違っているのに驚いた。
その会社の創業社長は、前述のダーウィンの「変化」を座右の銘のようにして日々経営している。
特に派手なことをしたり大鉈を振るって改革したわけではないが、日々の小さな積み重ねが会社全体を劇的に(私から見ると劇的だが、聞いてみるとその社長も役員も社員たちも特にそんなに変わったとは感じていなかったが)変化させたのだと思った。
経営者にしかわからない危機感と問題意識が会社を日々変化成長させている良い例のように感じた。