市川人事労務コンサルタント事務所

よもやま話

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労働契約法の改正

今年の8月に労働契約法が改正された。

内容は有期労働契約(1年契約を更新していく社員など)に関するもので、簡単に言えば「契約社員を5年やれば自動的に正社員になれる」というものだ。

原則として本人が希望することや6ヶ月以上の空白期間が無いことなどの条件はあるが、期間を定めた契約社員は5年以上雇用することができないということになる。

施行は来年の春くらいになりそうだが、それまでに企業としてはいろいろな対策を立てる必要が出てくるだろう。

しかし、まず言えるのは「法律に従って5年経った契約社員をそのまま正社員にするところはまず無い」だろうということだ。契約社員を雇用している企業はそれなりの理由があるからそうしているのであって、何も考えずに何となくやっている訳ではない。

また、契約社員として雇用されている側にもいろいろな事情がある。

勿論、正社員になりたいが募集がないから契約社員として働いているという人もいる。しかし、会社と一定の距離を置いて仕事がしたいからあえて契約社員として仕事をしている人もいる。(派遣社員の中にもこういう人はいるが。)

専門職制度が無い会社で職種を限定して仕事をする場合や、転勤をしない条件や長期出張をしない条件で勤務をする場合などに、契約社員で何年も仕事をするというのは大変有効な手段だ。

「本人の希望が正社員化の条件」だから一見クリアできそうに見えるが、企業の現場はもっと複雑でいろいろな問題をはらんでいる。

一方で、企業としても人件費が無尽蔵にある訳でもなく、正社員にするのが無理であれば泣く泣く5年で辞めてもらうというようなことが起こるだろう。こうなると会社にとっても社員にとっても不幸なことになる。

そうこう考えると、私の予測では5年経って「どうしても正社員にしてくれ」と言う者は辞めることになり、「このままで良い」と言う者は何も変わらず今のまま残ることになる。

そういう意味では、これは久々の「悪法ここに極まる」というやつかも知れない。

だいたい、国が企業経営をコントロールしようというのがそもそも間違っているのだ。

こんなことをやっていると更に国際競争力が落ちて、米国、韓国、中国にもっと負けることになる。

国は経営がしやすい環境を作るのが仕事であり、余計な邪魔をせず経営は経営者に任せるのが一番良い。

政治家や役人と比べれば、何だかんだ言っても経営者が一番まともなのだから。

2012年12月6日

人事・経営編