よもやま話
変わった人がいい
今日(2012年10月29日)日経新聞朝刊に「大学決算書を読む」という記事が載っていた。
内容は、かいつまんで言うと「入試の出願時期が迫っているが、昨今経営が厳しい大学が増えているから、経営破綻する大学を避ける意味で大学の決算書を読みましょう」ということらしい。
それだけでも何とも寂しいことだが、記事はそれに続いて真面目に決算書の読み方を解説している。
「間違えない学校選び」などの小見出しもあり、日経新聞ともあろうものがこんな記事作りを本気でやっているのかと大変寂しい気がした。
利益の出ている大学が良い大学だと言わんばかりの書き方で、どうもしっくり来ない。
確かに企業は利益が出ていなければ意味がない。ただ、これはトータルで利益が出ていることが大事で、企業の中にはいわゆる「健全なる赤字部門」がなくてはいけない。
今調子のいい部署だけでやっていければこれほど良いことはないが、この激しい変化の続く現代では次世代の技術・次世代の事業が常に模索されていなければならず、それがつまり「健全なる赤字部門」なのだ。
メーカーで言えば基礎研究部門等はその典型で、今は利益を生まなくても将来の大きなメシの種として大事に育てる姿勢が必要となっている。
少し毛色は違うが、グーグルの20%ルールもその一種で、そこで生まれた自由な発想が会社の将来を助けることになる。
大学などは本来そういう場所であり、そこそこの即戦力やいわゆるサラリーマンを育てる場所ではない。
企業の将来を救う人材を育てる場所なのだ。言ってみれば「基礎研究」ならぬ「基礎人材」のようなものだ。
だから本当は、変わった人間をもっとドンドン作ってもらうほうが良い。
そういう意味では、効率よく利益を出す大規模大学よりも、独特の感覚をもって学生を募集し利益を皆学生のためにつぎ込んで、結果としてギリギリ黒字でやっているようなユニークな大学がもっとできるべきだと思っている。
そういうところを出た学生は、知識の量と試験のテクニックだけで乗り切ってきた他の学生と違って、もっと起業家のセンスをもつのではないか。
企業でもそういう新入社員が欲しいはずだ。初めは簡単には言うことを聞かないから育てるのに多少手間がかかるだろうが、モノになれば大きな利益を生み出す人材になるだろう。あるいは大変なリーダーシップを発揮する人材になるかも知れない。
そういうのが何人かいないと会社をやっていても面白くない。
「後継者は創業者」という言葉があるが、まさにそういう人材は鍛えられうまく成長すれば次期経営者まであるのだ。ナンバー2を後継者にしてはいけないというのもそういう意味だ。
経営者の皆さん、変わった人間をどんどん採用しようではないか。
とは言え、私の顧問会社の経営者は皆とても変わった人達だから、自分より変わっている人材を採るのは至難のワザだが・・・。