よもやま話
後継者の心得
民主党の支持率が60%を超えているそうだ。
何と馬鹿馬鹿しい話だ。
支持率が20%を割っていたときと比べて何が変わったというのか。
恐らく、自民党の最後のおかしな首相三連荘の後遺症が残っていて、自民党への嫌悪感がまだまだあるのだろう。
自民党が駄目なのも分かるが、今の民主党に60%の支持率とは異常事態だ。
国民が早く目を覚ますのを祈るばかりだ。
民主党の失敗は、今まで責任も権限も無かった者が突然権限を持ってしまい、責任を感じる暇もなく権限を行使し始めたことに原因がある。
これは民主党にとっても不幸だが、国民にとっても不幸な話だ。
実力のないことを早く認識し、もっと謙虚に学ぶ姿勢を持たなければいけない。
企業の社長交代も全く同じ危険をはらんでいる。
この数年、社長交代するオーナー会社は多いが、私の経験から言うとパターンが二つあるように思う。
一つは、現経営者からきちんと教育されて自然な形で徐々にバトンタッチをするケース。
もう一つは、現経営者に批判的な勢力が新経営陣になるケース。
前者はあまり問題が無く事業承継できる。
問題は後者だ。
現経営者が突然の病気や事故で交代を余儀なくされる場合がある。
また、経営危機で資本が入れ替わる場合もある。
そういうケースならまだ諦めがつくが、もっと普通の(言ってみれば、敢えてもめる必要の無いようなことであるにも拘らず、無知が原因で最後にはうまく行かなくなってしまう)ケースもある。
これは「批判的勢力」と言うほどではなく、ちょっと反発している程度のものだが、だから一層もったいない。
創業オーナー経営者などは特に強烈な個性を持っている人が多い。
だからどうしてもまわりは我慢をする。
すると、その経営者の悪いところ、欠点、無茶や理不尽ばかりが目につくようになる。
創業者には余人をもって代えがたい能力があり、それのおかげで今までやって来れたのに、である。
例えば、怖くて頑固な社長を見ていると「自分は民主的な経営をやろう」と思うようになるが、怖い人が居なくなった途端に組織に規律と厳しさがなくなり、収拾がつかなくなることがある。
たかがこんなことでも、そういうものなのだ。
要するに、現経営者の素晴らしいところや類いまれな能力が「あって当たり前」のことに見えてしまい、その強烈な個性がゆえに見られるある種の「やりにくさ」ばかりが目についてしまうのだ。
こうなると、心の中でその経営者の批判をするようになり、自分の無力さに気がつかなくなる。
では、どうすれば良いか。
答えは簡単だ。
今の経営者の悪いところをあげつらうのをやめ、良いところを箇条書きに書き出してみるのだ。
そして自分の駄目なところを箇条書きにして書いてみる。
その後は自分を否定して謙虚になれば良い。
それだけで解決する。
それをすれば、経営者としての自分に足りないものを自覚して、身につける努力を自然とするようになる。
それをやらなければ、いざ社長交代してから後悔するか、あるいはそれにも気がつかず自信満々で倒産に向かって進んで行くか、どっちかになるだろう。
優秀で経営センスのある後継者でも、ここを間違うと失敗する。
後継者諸君、今しかできないことを粛々とやろうではないか。