よもやま話
成果主義か、実力主義か
最近、成果主義の功罪がいろいろ言われている。結果がすべてだと思って成果主義を取り入れたのか、それとも、実力を測るのが難しいから成果を測ることにしたのか。いずれにしても現在行われている多くの成果主義には少し無理がある。
日本企業のほとんどは、前もって社員の仕事範囲を限定していない。優秀な人にはどんどん仕事が集中し、できない人には仕事がいかない。このやり方自体は大変良い仕組みなのだが、その評価方法がおかしなことになっている。
成果を出すことは大切なことで、これを無視して実力主義は成り立たない。しかし、成果を評価するときに気をつけなければいけないことがある。それは、たまたま生み出した成果で評価するのではなく、生み出すべくして生み出した成果を評価すべきだということだ。
高い能力と正しいプロセスで当然の結果として成果を出す。このスタイルが構築できなければ、いつまでたってもイチかバチかの脆弱な経営から脱却できない。出合いがしらの成果など無い方が良い。
たとえば相撲の世界を見るとよくわかる。最近モンゴルを始めとする外国勢が一大旋風を巻き起こしているが、こればっかりはしょうがない。やはり強いものが上に行く。残念だが、小手先の引き技で勝ちを拾っている千代大海などは、このままではまず横綱にはなれないだろう。勝ち星が成果、強さが実力だと思えばわかりやすい。出合いがしらの成果など無い方が良い、と言ったのはこのことだ。
力士の仕事は勝つことでなく強くなることだ。強くなれば勝つことができ、昇進も優勝もできる。だから、力士が大事な一番を前に、「勝ち負けより自分の相撲をとることだけを考える」と言うのは、かなり本質を突いた発言だと言える。
短期的成果を求めるならまぐれでも良いが、企業とは中長期的に業績を上げることが使命なのだ。だから成果を生むために必要な実力を測る「実力主義」が必要とされているのだ。