市川人事労務コンサルタント事務所

よもやま話

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本物か偽物か

企業にはいろいろなのがいる。

弁舌鮮やかで中身がない者。地味でも長く付き合うと実力を感じる者。

私の顧問会社にもいろいろな社員がおり、またいろいろなのが出入りしている。本物もいれば偽物もいる。

たまに、社長に「あれいいでしょう」と言われることがあるが、社長が思っているほどは良くないことがある。特に社長が大絶賛する場合は危ない。

大絶賛されるようなのは本質的な仕事をしておらず、ただ社長に対して自分を良く見せようとして振る舞うから、一見とても良く映る。だからそれが大絶賛につながるのだ。これは偽物の典型だ。

時間のない社長が、光っているほうについ目が行ってしまうのも仕方がないところもあるが、しかし言ってみればそういうのはピカピカ光る金メッキのようなもので、本当の金無垢は軽々しく光らない。

また、能力がある社長が簡単に引っかかってしまう理由はそれ以外にもあるのだ。

ひとつには「幹部社員が社長に対して距離を置いている」ということがある。幹部が社長を遠巻きにしてなかなか近づかないところに隙間ができ、そのスキにそういう偽物がすり寄ってくるという仕組みだ。

本当に実力のある本物なら問題ないが、それが口先だけの偽物となると後々大変なことになる。

本物か偽物か、社長にはそれがなかなか分からないことがある。なぜなら、社長だから見えるものがある反面、社長だから見えないものがあるからだ。社長だから騙されると言っても良い。このへんは書けば長くなるので割愛するが、本当にそういうことがあるのだ。

しかし、本物か偽物かを見抜くのは実は意外と簡単なのだ。

自らまわりの意見を聞ける環境を用意しておけば良い。

偽物は、社長に対してのみ一生懸命気に入られるように演じているので、まわりから見るとおかしなところがたくさん見える。まるでTV番組のセットを裏から見ているようなものだ。

だから偽物は周りからの人望がない。

経営者は自分が絶賛している者が人望がないときは、一度立ち止まって考えたほうが良い。

私の経験では、少し放っておいても時間が経てば自然淘汰されることが多いが、しかしたまに自然淘汰される前に会社を蝕む場合がある。そうなると事は少し厄介になる。

だから幹部は常に経営者と公私ともに密なコミュニケーションを取っておかなければならない。

私がいろいろな会社で「経営者と幹部は頻繁に酒盛りをせよ」というのはそういうことなのだ。ただ私が酒好きで言っているわけではないのだ。

2012年11月15日

人事・経営編