よもやま話
社外取締役(社長の能力)
日本の会社にあっては、取締役というのはサラリーマンの出世の最終形であることが多い。
だから取締役であっても、経営者というより社長の部下という側面が強い。
では、そういう日本企業において社外取締役の役割とは何だろうか。
まず、社長(オーナーの場合は特に)の想いを達成させるために後押しするのは大事な役割だと思う。
また一方で、社長に失敗させないためのブレーキ役も重要な役割だろう。
先日、「裸の王様」という特集が日経ビジネスにあった。
経営者が独り善がりになり会社を潰すケースや、経営者自らが自分に辛口の意見を言う社外取締役を敢えて置き、成功しているケース等を取り上げていた。
私は人事コンサルティングを行っている他に、いくつもの会社の社外取締役をやっている。
私がかつて勤めていた会社を辞めて、自分で今の仕事を始めたのが17年前。
当時は、何をやれば良いのか、また自分に何ができるのか等、全くの手探り状態だったのが、今は自分のやるべきことが何となく明確になってきた。
それが分かってきた頃から、いろいろな会社(経営者)から「役員になってほしい」という要望が増えてきた。
不思議なことだと思う。
私が関わっている経営者には変わった人が多いが、総じて言えることは「かしこい」ということだ。
例外なく、純粋で情熱的で行動的で変わり者でわがままだが、必ず自分を律する力を持っている。
そこが、かしこい。
不思議だが、皆そうなのだ。
自分の能力を疑う能力とでもいうのだろうか。
何と例えればいいのか分からないが、確かにそういう力を持っている。
そういう人達だから、客観的なモノサシとして社外取締役を置くのだろう。
良く考えれば、これは凄いことだ。
私などは自分が優秀だと思っているから、自分の能力を疑ったことがない。
だから私が社長なら、いろいろ耳の痛いことを言う私のような社外取締役など、まず置かないだろう。
妙な言い方だが、だから私の関わっている会社の経営者は、私より数段優秀なのだと思う。
それを考えると、世の中には優秀な経営者がたくさんいるものだと感心する。
いや、本当に日本の経営者は大したものだ。